ジャズリスナーとして、時々思うことの一つに、プレイヤーの共演者との相性のことがあります。ジャズはいろんな個性のぶつかり合いがおもしろみでもあるのですが、まれに「この組み合わせはどうかな?」と思うことがあります。それは共演者同士のダイナミクスの違いですね。
●1975-1977の録音
Paul Desmondの使用マウスピースは、同型のものを私も現場で使うことがありますが、MC Gregory 4A18という ふわっと鳴らすと素晴らしい余韻のある音が鳴るもの。当然デリケートな倍音とダイナミクス。Desmondのスタイル自体もクールに吹き上げるところが彼の持ち味なのだけれど、、、
Chet Baker (trumpet), Paul Desmond (alto sax), Hubert Laws (flute), Bob James (keyboard), Ron Carter (contrabass) and Steve Gadd (drums).
●1960の録音
コルトレーンの奏法は口の形が下唇を巻き込まずにリードをフルに振動させるスタイル。
一方スタン・ゲッツは、下唇を巻き込み、リードの振動は制御されたsmokyなサウンド。
好対照といえなくも無いけれど、、、
John Coltrane and Stan Getz.
Recorded in Germany 1960. Oscar Peterson (piano). Paul Chambers (bass), Jimmy Cobb (drums)
みなさんはどう感じましたか??
練習でのカデンツを、Instagramにアップ。
アドリブのイメージがうまくサウンドに出てるかどうか、、
は、少し日をおいて聞くと「思い込み」なくシビアに聞けるからです。
今回はデズモンドのコード・チェンジでのアドリブ。
jazz standardのThese foolish thingsはシンプルで飽きない名曲ですが、
4小節目から5小節目にかけてのコードは、ジャズ・セッションでは
Cm7-F7 l Bm7-E7 l Bbm7-Eb7 のように半音下りにやることが多いですね。
将棋でいうところの定石?のようなおきまりなのですが、若い頃から実は、
あまりしっくりきてませんでした。
1959年のDave Brubeck quartetのローマ大学での演奏でデズモンドはこの
Cm7-F7 l Bm7-E7 l Bbm7-Eb7
を
AbM-Fm7 l Em7 Em7 l Bbm7-Eb7
というふうに吹いています。
文字でコードを表記してしまうと強引に見えますが、すごくメロディアスで、しかも、とってつけた感がないサウンドに聴こえます。
このあたりのジャズの自由度は楽しみのひとつですね♪
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アメリカ系の特にインストジャズは、音を敷き詰めてドラマティックに、時には複雑なサウンドで聴き手を圧倒する。ヨーロッパのクラシカル音楽でも「圧倒する」というコンセプトは多いですね。
対照的なのは日本古来の和楽/邦楽。
無音の部分いわゆる休符や余韻の存在感が大切で、聴き手はそこにも惹きつけられる。今、奏でられている音が他の音と同じ重みなので、構成としてクライマックスへ向かう、という感覚もない。
Paul DesmondやChet Bakerが日本で人気があることも納得できます。マイルスもある時期そのような(cool jazz)サウンドでした。