楽器やマウスピース、ときにはリガチャーなど「何をつかってますか?」という質問をよくくださいます。 楽器の個性は、ほんとうに興味深いです。私自身も国産・海外問わず、7~80年前の楽器(いわゆるビンテージ)から現代のものまで吹いてきましたが、サックスは、前歯がマウスピースに触れますからリードの振動が頭蓋骨に共鳴します。また喉を通じて器官・横隔膜から肋骨も共鳴します。(もちろん楽器のチョイスによってざっくりの方向性は決まりますが) 骨格が違えば当然、鳴り方も変わりますね。さらにそこに吹き手の音のイメージングが加わり口腔から下の開き方も異なってきます。音の個性は吹き手側の要素も大きいわけですね。 楽器の個性にプラス手持ちの楽器を自分の鳴りに「する」のも楽しいですね。<画像は先日のイタリアンにて>
リードの選び方ですが、、結論から言うと、リードに関して、「これを使うぞ!」とどれかひとつのブランドに絞り込む、という選択の仕方は案外ストレスを多く伴う場合が多いのではないでしょうか。
何年もの間、同じブランドのリードを使っていても、カットが変更され途方に暮れることがあります。また、リードの調子が良くても、たとえば、スタジオで吹くときは、そのスタジオの吸音材や調音パネルの環境に音色の響きが大きく左右されます。パーティーの演奏のときなども、多人数の立席だと音をとばします。さらには共演の方の音量、、。など現場の数だけ響き方が異なりますね。 渾身の選択のリードも場所が変われば、使えない、ことはそこそこあります。
リードのブランドの選択は、いつも同じ場所で同じ環境で吹くという場合以外は、おおよそ、A社のこれか、またはB社のこのあたり、とザックリ決めておいて、あとは現場で吹きながら決める、、くらいのほうがうまくいくし何よりストレスがないです。
私の場合、昔はひとつのブランドを繰り返し使用していましたが、最近は、現場の音抜けと音色の響き方に応じて、バンドレン系とRICO(現DADALIO)系をざっくり使い分けています。
< 追記 ! > 上記は、もちろんリードの選択について「適当」とか「ほどほど」ということではなくてむしろ逆で、、
たとえ音環境が変わってもサウンドをブレささないためには、リードのブランドをあえて1つに絞り込まず、異なった音環境に対応できるよう複数のブランドのリードを持っておく方が、より出音のサウンドを安定させられる、ということです!
具体的なリードの各ブランドの、体感的な特徴は、次の機会に!
マウスピース、楽器本体、リード等々、、組み合わせは無限ですが、、最近思うこととして、、、
音色のざっくりな要素としては2つ ・ブライトでエッジの立った要素。 ・その逆のダークで丸みのある要素。 そしてこのブライトな要素とダークな要素の配合を考えるとおもしろいです。配合とは、科学的には「倍音」の要素の比率のことですね。 ・倍音‐Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%8D%E9%9F%B3
学術的なことは抜きにして、実際にこの相反する「ブライトとダーク」な比率を産み出す組み合わせはいろいろありますね。
楽器本体がブライトな鳴りのもので、出音をもう少しダークにしたい場合、マウスピースを、(入手しやすいものとして)SelmerS80などのダークで丸みのあるもので組合わす。これだけでも「ブライトとダーク」の配合が変わりますね。
テイク・ファイブで名をはせたポール・デズモンドPaul Desmond、、、かれの使用していたマウスピースは(同じ型の同じ年代のものをわたしも時々使用しますが)かなりブライトな鳴りです。しかし、かれの吹くときの口の形は、thin lipといって(スタンゲッツStan Getzももっと顕著ですが)下唇をあまり前にださない分リードとの接地面積が増え、その分ダークになる形でした。 これもブライトとダークな配合のすばらい例だと思います。
<画像> MC gregory 4A18