サックスの原料は真鍮でそこに通常はラッカーが塗られています。
経年劣化でラッカーが落ちたものや、最近は新品の出荷時点からアンラッカー/ノーラッカーのサックスもあります。
そもそも、ラッカーの塗られたものと、塗られてないものでは音色等に違いはあるのでしょうか?
わたしは「違いはある」と思います。
ラッカーの塗られた楽器は真鍮の振動がラッカーの層で蓄えられて効率よく空気を振動させる。 「息→音」変換の燃費がいいイメージで、吹奏感はモチっとしています。 自分の音をモニタリングしやすいです。
一方、ラッカーのとれたビンテージ楽器の褒め言葉で「枯れている」とよくいいますが、 ラッカーのない分、音のモチっと感はいい意味で少ないです。 そして軽い吹奏感が心地よいともいえます。 そのような状態のビンテージの個体を「枯れている」と形容するのですね。
余談ですがビンテージの「枯れ」感はラッカーだけではなく、 各ジョイント接合部の音伝達のスムースさも影響するようです。
それから、サブトーンはラッカーの有無とは別のテクニックです。
ジャズの先人はどうでしょうか。。
ソニーロリンズSonyRollinsはあまり古い楽器は吹かなかったそうです。 リーコニッツLeeKontzやポールデズモンドPaulDesmondもラッカーのおちた楽器を吹いているのは画像でも見たことがありません。
しかしズードシムズZootSimzは晩年はラッカーがほとんど残ってないsbaです。
どちらが好きかは人それぞれです。。
現行の楽器/ビンテージの楽器、そしてアジア製、欧米のもの問わず、接してきていますが いろんな分類のアプローチがあると思います。吹きやすさ・音色の質感(説得力)は重要です。
その要素でおもしろいのがネックの角度です。
個人的によく使用するのはSelmerMarkⅥ、Selmer SuperBallancedAction、Conn Mモデルですが、 それぞれネックの下向き上向きといった角度が異なります。
例としては、この3つだと、左から順にネックの角度が深くなっていきます。 マーク6は口に近いところにマウスピースの位置が自然にきますが、コーンは口の下の方にきやすい、ということです。SBAはその中間です。
よって奏者は、コーンだと意識せずに吹くと少しうつむきになることが多いです。 このことは音色への影響のひとつで、自分の好みに合えばConnという選択も近道かもしれません。
ただ、LeeKonitzもConnを吹いていた時期がありますが、SBAにもどりました。 クラシックを産んだヨーロッパ産のSelmerの音色に帰着する人も少なくありません、、そこは好みですね、、。
「楽器の話」は不定期ですが、次回はラッカーの有無について、です!
ふだん使用のマウスピースについては、ライブ後などによくご質問をいただきます。
私自身、ご多分にもれず、高校時からありとあらゆるマウスピースを遍歴してきました。 SelmerのS80でジャズをしていて、Mayerなどへ移行し、その後、Selmerのvintageを長く使用しました。
最近はふたたびSelmerの現行品を吹いています。
現行のソロイストやS80をジャズに使用していますが、他のものも個性豊かで、これらのSelmer社のマウスピースを視覚的にイメージした図を掲載させていただきます。
図案は長く管楽器専門店で勤務されたのち、現在は大手楽器輸入貿易会社におられる岡本氏によるものをお借りしました。氏のイメージ図とわたしの感覚が非常に*マッチしています。S80が真ん中というのもうなづけます。
*あくまでも目安です。長くサックスを吹いておられる方は同じ種類の中でもマウスピースの個体差に気付かれるでしょうし、個人差があります。